ブレーキからの異音の種類と修理・点検の具体的な手順

ブレーキからの異音の種類と修理・点検の具体的な手順

1. ブレーキから発生する異音の主な種類

ブレーキ異音とは?

自動車のブレーキは、日常的に使用する重要な安全装置です。しかし、ブレーキを踏んだときに「キーキー」「ゴリゴリ」「カチカチ」といった異音が発生することがあります。これらの音にはそれぞれ原因や特徴があり、放置すると大きなトラブルに繋がる可能性もあります。ここでは代表的なブレーキ異音について解説します。

代表的なブレーキ異音の種類と特徴

異音の種類 音の特徴 主な原因
キーキー音 高く鋭い金属音
例:「キーーッ」
パッドの摩耗
パッドとローターの擦れ
ダストやサビの付着
ゴリゴリ音 低くこすれるような連続音
例:「ゴリゴリ」「グーグー」
パッドの著しい摩耗
ローター損傷
異物混入
カチカチ音 断続的で小さな打撃音
例:「カチカチ」
パッドやキャリパーの緩み
部品のガタつき

キーキー音について

もっとも多く聞かれる異音で、特に朝一番や雨上がりなどで発生しやすいです。軽度の場合はパッド表面にダストや水分が付着しただけですが、長期間続く場合はパッドの交換時期かもしれません。

ゴリゴリ音について

摩耗したパッドが完全に削れて金属同士が直接触れている場合によく発生します。この状態を放置するとローターまで損傷してしまうので、早めの点検・修理が必要です。

カチカチ音について

ブレーキを踏むたびにカチカチという小さな打撃音がする場合は、キャリパーやパッド自体が正しく固定されていない可能性があります。走行中の安全にも関わるため、専門店で確認しましょう。

2. 異音が発生する主な原因

ブレーキパッドの摩耗

ブレーキから異音が聞こえる場合、最も多い原因の一つがブレーキパッドの摩耗です。日本の都市部ではストップ&ゴーが多く、ブレーキの使用頻度が高いため、他国と比べてパッドの減りが早い傾向があります。パッドが薄くなると「キーキー」や「シャリシャリ」といった音が発生しやすくなります。

ブレーキパッド摩耗による異音の特徴

異音の種類 発生タイミング 対策
キーキー音 軽くブレーキを踏んだ時 パッド交換推奨
シャリシャリ音 減速時全般 点検・交換必要

ディスクローターの損傷

長期間ブレーキパッドを交換せずに使い続けると、ローター自体にも傷や歪みが発生します。特に日本は雨の日も多く、ローター表面にサビができやすい環境です。こうした損傷やサビによって、「ゴーッ」や「ガリガリ」といった異音が出る場合があります。

ディスクローター損傷時の症状

症状 異音例 必要な対応
表面に深い溝・サビ有り ゴーッ、ガリガリ音 ローター研磨または交換
歪み発生 振動+異音 ローター交換推奨

ダストや異物の混入

日本は四季折々で道路状況も変化します。春には花粉、秋には落ち葉、冬は融雪剤など、様々なものが路面に存在します。こうしたダストや小石などの異物がブレーキまわりに入り込むと、「カラカラ」や「チリチリ」という異音の原因となります。一時的な場合もありますが、異物が取れない場合は点検清掃が必要です。

ダスト・異物混入時のポイント

異物例 発生しやすい季節/場所 対処方法
小石・砂利 工事現場付近・降雪後道路等 ブレーキ清掃(プロ依頼推奨)
花粉・落ち葉等植物片 春・秋の住宅街など 定期的な点検・清掃
融雪剤残留物 冬季の積雪地域道路走行後 洗車と下回り洗浄を推奨
まとめ:異音は早期発見・対策が大切です。

異音がする場合の初期対応策

3. 異音がする場合の初期対応策

ブレーキから異音を感じたらすぐに行うべきこと

ブレーキから「キーキー」や「ゴリゴリ」といった異音が聞こえた場合、まずは安全第一で対応しましょう。異音を無視して運転を続けると、ブレーキシステムの重大なトラブルにつながる可能性があります。ここでは、異音を感じた際に取るべき初期対応についてご紹介します。

異音発生時のチェックポイント

確認項目 具体的な内容
安全な場所に停車 交通の妨げにならない安全な場所(コンビニ駐車場や路肩など)に車を止める。
異音の種類・発生状況を確認 どんな音か(キーキー、ゴーゴー等)、いつ鳴るか(ブレーキ操作時のみ、常時鳴っている等)をメモする。
タイヤ周辺の目視点検 パッドやディスクの摩耗具合、泥や小石の挟まりなど異常がないか簡単にチェック。
再始動時の注意 異音が消えない場合は無理に運転せず、JAFや自動車修理工場へ連絡する。

安全に運転し続けるためのアドバイス

  • 異音が軽度でも、できるだけ早く点検・整備工場で専門家に見てもらいましょう。
  • ブレーキ性能が落ちていると感じた場合は、速やかに運転を中止してください。
  • 走行前の日常点検も習慣づけておくと安心です。
  • 普段と違う感触や音がした時は、「気のせい」と思わず早めに対応しましょう。
JAFやロードサービスへの連絡方法

もしも自力での移動が困難な場合は、JAF(日本自動車連盟)や任意保険付帯のロードサービスへ連絡しましょう。会員番号や現在地情報を準備しておくとスムーズです。安全な場所で待機し、無理な運転は避けてください。

4. ディーラーまたは整備工場での点検・修理の流れ

ブレーキ異音の点検・修理はどこで行う?

ブレーキから異音が発生した場合、安全のためにも早めにディーラーや認証整備工場での点検をおすすめします。日本国内では多くの場合、以下のような流れで点検・修理が行われます。

一般的な点検・修理の流れ

ステップ 内容
1. 受付・ヒアリング お客様から異音の状況を詳しくお聞きします(いつ、どんな音、どこからなど)。
2. 試運転 整備士が実際に車を動かし、異音の再現や場所を特定します。
3. 点検作業 タイヤを外し、ブレーキパッドやローター、キャリパーなどを目視や計測で確認します。
4. 異常箇所の特定 摩耗、汚れ、破損など異常部分を見つけます。
5. 修理・交換提案 必要な部品交換や修理方法、費用について説明があります。
6. 作業実施 承諾後に部品交換や清掃、調整など具体的な作業を行います。
7. 動作確認・納車 再度試運転し問題がないかチェックし、お客様へお渡しします。

ディーラーと整備工場、それぞれの特徴

ディーラー 認証整備工場
対応車種 メーカー指定車種中心 国産・輸入車問わず幅広い対応可
純正部品使用率 高い(メーカー純正) 純正/社外品選択可
料金設定 やや高め傾向だが安心感あり 比較的リーズナブルな場合も多い
保証内容 メーカー保証適用可の場合あり 独自保証サービスありの場合もある

具体的な作業例:ブレーキ異音への対応内容一例(日本国内)

  • ブレーキパッド交換: パッドの摩耗が原因の場合、新しいパッドに交換。
  • ローター研磨・交換: ローター表面に傷や歪みがある場合、研磨または新品交換。
  • ブレーキクリーニング: ブレーキダストやゴミ詰まりによる異音には清掃作業。
  • グリスアップ: パッドや可動部への専用グリス塗布で鳴きを防止。
  • その他部品の調整・交換: バックプレートやシムなど付帯部品の調整・取替えも必要に応じて実施。
注意ポイント(日本ならでは)
  • TUVマーク/車検適合: 安心して乗るためにも、日本国内基準に合った部品選びが大切です。
  • 季節ごとの対策: 雨期や冬季はブレーキトラブルが増えるため、定期点検がおすすめです。

5. 日常点検の重要性と予防策

ブレーキ周りの日常チェック方法

ブレーキから異音が発生する前に、日常的な点検を行うことが非常に大切です。以下は、ご家庭でも簡単にできるチェックポイントです。

チェック項目 方法 頻度の目安
ブレーキパッドの厚さ タイヤの隙間からパッド残量を目視で確認 月1回以上
ブレーキディスクの状態 表面のサビや傷、変色をチェック 月1回以上
ブレーキオイルの量と汚れ リザーバータンクを開けて液量・色を確認 車検ごと/半年ごと
異音の有無 走行中や停車時に耳を澄ませる 毎回運転前後

異音を未然に防ぐためのポイント

  • こまめな洗車:ホイール周辺の泥や砂を取り除き、パッドやディスクへの付着を防ぎます。
  • 急ブレーキの回避:強い力で何度も急制動すると、部品が摩耗しやすくなります。
  • 定期的なプロによる点検:自分で気づけない細かな不具合も、専門店で見てもらうことで早期発見が可能です。
  • 異音がしたらすぐ対応:「そのうち直るだろう」と放置せず、違和感を感じたら速やかに点検しましょう。

日本独自の車検文化との関わり

日本では「車検(しゃけん)」という法定点検制度があり、これにより最低限の安全基準を満たしているかどうか定期的にチェックされます。ブレーキも必ず点検項目に含まれており、不具合があれば整備・修理が義務付けられています。しかし、車検だけに頼ると、次回までの間に異音などのトラブルが発生することも。日々のセルフチェックとプロによる定期点検、この両方を活用することで、安全・安心なカーライフを送ることができます。